山崎さん:
発生から72時間が過ぎると、生存率が急激に落ちるといわれています。ですから、災害救助では72時間以内の救出に全力を挙げることになります。メディアなどでしきりに「72時間」と耳にすることがあるのはそれが理由です。
また、地元住民の災害対応を行う各自治体が態勢を整えるのに72時間をメドにしている点もあります。
これは逆に言えば「72時間は自分の力で生き延びなければならない」ということです。
山崎さん:
災害が起きたら、まずは自分の身を守るのが最重要です。自分が助からないと、となりの人を助けることはできません。例えば自宅で寝ているときだったら、布団をかぶって頭を守り、体を丸めるたりして、倒れてくる家具から防御しなくてはなりません。
自宅から逃げる際は、「ガスの元栓を閉める」「電気のブレーカー落とす」ことも忘れずに。ライフラインが復活した際の火災予防をすることが大切です。
山崎さん:
災害時は、それこそ普段やってることしかできません。日ごろからの練習や備えが大事になってきます。
大地震が起きたときの避難場所を家族と事前に確認しておきましょう。避難場所は相当混雑するので、家族で練習がてら一緒に行ってみると、イメージできていいですね。
家具の固定対策も大切です。大地震の際には「テレビが飛ぶ」こともあるといいます。ドアの開閉を確保できるようレイアウトも見直しを。日ごろの備えによる安心はメンタル面に影響します。
山崎さん:
日ごろの備えとしてうっかり忘れがちなのが、お薬です。
自分の飲んでいるものをきちんとお薬手帳に書き留めておきましょう。
お医者さんに「どんなお薬を飲んでいますか」と尋ねられた時に、「ほら、あの白くて丸い薬」と答えてもお医者さんは判断できません。体質に合わないものでは、大変なことにもなりかねません。
また、いつも家族と一緒とは限らないので、家族の写真を持っているとよいでしょう。家族とはぐれてしまったとき、ほかの人に「こんな人を探しています」と尋ねたとき見つかる確率がぐんと高まります。
72時間自分の力で生き延びなくてはいけないとき、特別なサバイバル能力ではなく、普段から備えておくことが重要になってきます。
自分が助からないと、となりの人を助けられません。普段の備えについて見直したり、ご家族で話し合ったりしてみませんか。
あわせて知りたい 東京消防庁の「地震に対する10の備え」(外部サイト)
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東日本大震災の半年前の2010年7月にオープン。普段は防災体験学習施設として市民に開放されているが、大災害時には政府の「緊急災害現地対策本部」が設置される。
「そなエリア」は、そなえる+エリアの造語。「ここでの体験と学習を通じて、“災害をイメージする力”と“対応力”を身につけることで、災害への備えにつながる場所」を意味しています。