大雨線状降水帯の注意点

線上に伸びた地域に長時間にわたって強い雨を降らせる「線状降水帯」とはどのようなものか、気象庁が情報を発表した場合はどのような点に注意するべきかを解説します。

出典: Yahoo!ニュース オリジナル

目次

線状降水帯とは

次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなし数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、長さ50~300km程度、幅20~50km程度の線状に伸びる強い降水域を線状降水帯といいます。線状降水帯による顕著な大雨によって、毎年のように数多くの甚大な災害が生じています。

「顕著な大雨に関する気象情報」の発表基準を満たすような線状降水帯による大雨の可能性がある程度高いことが予想された場合に、半日程度前から、気象情報において、「線状降水帯」というキーワードを使って呼びかけます。
この呼びかけは、警戒レベル相当情報を補足する解説情報として発表します。

線状降水帯の情報だけに頼らず避難行動を

  • 線状降水帯による大雨の正確な予測は難しく、この呼びかけを行っても必ずしも線状降水帯が発生するわけではありませんが、線状降水帯が発生しなくても大雨となる可能性が高い状況といえます。
  • 線状降水帯の雨域の内側か外側かで、キキクル(危険度分布)が示す危険度に違いはありません。また、顕著な大雨に関する気象情報の発表基準を下回り、線状降水帯の雨域の提供がなくなっても、その瞬間から安全になるわけではありません。断続的に提供されたりされなかったりすることもあります。
  • 線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼びかけがあったときも、地元市町村が発令する避難情報や大雨警報や危険度分布等の防災気象情報と併せて活用し、自ら避難の判断をすることが重要です。
顕著な大雨に関する気象情報の発表基準

現在、10分先、20分先、30分先のいずれかにおいて、以下の基準をすべて満たす場合に発表します。

  1. 前3時間積算降水量(5kmメッシュ)が100mm以上の分布域の面積が500km2以上
  2. 1. の形状が線状(長軸・短軸比2.5以上)
  3. 1. の領域内の前3時間積算降水量最大値が150mm以上
  4. 1. の領域内の土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)において土砂災害警戒情報の基準を超過(かつ大雨特別警報の土壌雨量指数基準値への到達割合8割以上)または洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)において警報基準を大きく超過した基準を超過

出典:気象庁ホームページ

線状降水帯ができるしくみ

段階1:暖かく湿った空気で、積乱雲が発生する

線状降水帯はどのように生まれるのか。まず、海上などから流れてくる「暖かく湿った空気」が「山」にぶつかることから始まる。暖かい空気と冷たい空気の境目に生まれる「前線」にぶつかるケースもある。

いずれにせよ、山や前線にぶつかった暖かい空気は上方に移動しようとするので、「上昇気流」が発生。その後、積乱雲(いわゆる雨雲)が発生し、雨を降らせるという仕組みだ。

暖かく湿った空気で、積乱雲が発生する

段階2:積乱雲が連続発生、線のように連なっていく

暖かく湿った空気の流入が続き、積乱雲が連続的に発生。積乱雲は上空の風に流されて細長く線状に連なっていき、停滞する。積乱雲単体の「寿命」は短く、1時間程度で消滅するが、線状降水帯の場合は積乱雲が次々と発生することで、長い時間大雨を降らせることになる。

積乱雲が連続発生、線のように連なっていく

出典:Yahoo!ニュース オリジナル「線状降水帯はなぜ怖い? わからないことだらけの気象現象に備えるために」(デザイン&イラスト:オザワタクヤ)

2023年06月19日公開

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防災手帳についての免責事項

災害発生時には政府機関や各自治体の発表する情報にも注意を払い、必要に応じてすみやかに避難等を行ってください。必ず、他の情報と併せて状況を確認するようにお願いいたします。

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