火山富士山噴火の可能性とリスク
噴火を繰り返してきた活火山として知られる富士山。最後の噴火は今から300年以上前にさかのぼりますが、一方で次の噴火はいつ起こってもおかしくないと考えられており、国や自治体が対策を急いでいます。富士山噴火による影響について知ることで、いざという時に備えましょう。
噴火を繰り返してきた活火山として知られる富士山。最後の噴火は今から300年以上前にさかのぼりますが、一方で次の噴火はいつ起こってもおかしくないと考えられており、国や自治体が対策を急いでいます。富士山噴火による影響について知ることで、いざという時に備えましょう。
富士山は、歴史的に何度も噴火を繰り返しています。最後の噴火は今から300年以上前、江戸時代の「宝永噴火」(1707年)です。しかし、過去にさかのぼると、約5600年の間に少なくとも180回噴火したことが判明しており、いつ噴火してもおかしくないと考えられています。
気をつけたい主な現象には、火口から噴出した非常に高温のマグマが地表を流れ下る「溶岩流」。高温の火山灰や大小さまざまな岩の塊、火山ガスや水蒸気などが一体となって高速で斜面を流れ落ちる「火砕流(火砕サージ)」などがあります。火砕流(火砕サージ)は、時速100km以上の速度になることもあり、火山現象の中でも人命を奪う可能性が高いものの一つです。
また、噴火に伴って空中に噴出される「噴石」は、おおむね20~30cm以上の「大きな噴石」となると、コンクリートの建物にも穴をあけるような大きな破壊力を持っています。
降灰は、直接命を奪うような危険性はほとんどないものの、風に乗って広い範囲に火山灰が運ばれるため、陸・空の交通機関の停止、停電、断水などが広域で長期間にわたり発生し、社会の機能麻痺が起きる可能性があります。
火口の位置や噴火の規模によっては、東西を結ぶ大動脈の東名、新東名高速道路まで最短2時間前後、東海道新幹線まで5時間で到達するおそれがあります。
国の検討会が2019年、宝永噴火と同規模の大噴火が発生し、15日間続いたとの想定でシミュレーションを行っています。これによると、影響下の人口・資産が大きくなる西南西の風が卓越したケースで、最終的には東京都新宿区で約10cm、三鷹市で15 cm以上、相模原市で約30 cm積もるとの結果が出ています。
鉄道は微量な降灰で地上路線の運行が停止します。視界の悪化や道路上の降灰の影響で、道路を安全に通行することは困難になると考えられます。このような影響で、人口の多い都市部では、生活に必要な物資が不足するでしょう。また、電力、通信、上下水道などにも影響が出る可能性があります。
富士山は、国や研究機関などによって地震計や傾斜計などさまざまな機器が設置されている、国内でも観測体制が充実している火山の一つといえます。このため、地下から上昇するマグマや水蒸気の動きなど、噴火の前兆と考えられるような現象を捉える可能性は高いでしょう。しかし、前兆現象があっても噴火しないケース、あるいはそのような前兆現象の観測からごく短時間で噴火に至るケースなど不確実性が大きいため、現在の科学技術では、いつ、どこで、どのような噴火が起きるのか、事前に正確に予測することは難しいでしょう。
誰も経験したことがないので、確かにどのようなことが起こるのかを想像することは難しいです。しかし、ハザードマップを確認するなどして、自分が普段生活している場所にどのような現象が起こるのかを理解しておくことが大切です。
2023年09月14日公開