避難生活季節ごとに流行する感染症の予防
季節ごとに流行する感染症には、予防策など感染しないためにできることがあります。普段から知っておくべきこと、そして災害時の避難中に注意すべき感染予防法とは、どんなことでしょうか?
季節ごとに流行する感染症には、予防策など感染しないためにできることがあります。普段から知っておくべきこと、そして災害時の避難中に注意すべき感染予防法とは、どんなことでしょうか?
出典: BuzzFeed Japan
1年を通して、手洗いうがいなどで継続したい感染症対策。この記事で取り上げる、ノロウイルス、インフルエンザ、手足口病が流行する季節はこちらです。
ノロウイルスは1年中発生しますが、11月くらいから発生件数が増加し、12月〜翌年1月がピークです。季節性インフルエンザも12月〜翌年3月など冬が流行シーズンで、1、2月にピークを迎えます。一方で、手足口病は夏を中心に流行し7月下旬がピークです。
出典:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」「インフルエンザQ&A」「インフルエンザ予防リーフレット」「手足口病関するQ&A」、国立感染症研究所「手足口病」をもとにBuzzFeed Japanが作成
ノロウイルスは手指や食品などを介して、経口で感染、ヒトの腸管で増殖し、嘔吐、下痢、吐き気、腹痛などを起こします。
ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は1年を通して発生しますが、冬に流行する傾向があります。感染から発症までの潜伏期間は24~48時間です。
ノロウイルスは、ウイルスの蓄積した可燃不十分な二枚貝や、感染した人が調理などをして汚染された料理からなど「食品」からの感染、そして、感染した人のふん便や嘔吐物からの二次感染や、家庭・施設内での飛沫による「人」からの感染の2つがあります。
ノロウイルスについてはワクチンがありません。患者のふん便や吐物には大量のウイルスが排出されるので、予防には以下の3つの点が大切です。
ノロウイルスに感染すると、腹痛、下痢、嘔吐などの症状があります。感染が疑われる場合は、最寄りの保健所やかかりつけの医師に相談しましょう。
家庭や学校、社会福祉施設などで感染者が出た時には、二次感染・集団感染を防ぐために、消毒などの対策をする必要があります。早めの診断で適切な対症療法を行うと同時に、感染経路を調べ集団感染を防止します。速やかに最寄りの保健所に相談しましょう。
ノロウイルスは感染力が強く、ドアノブやリネン類、カーテンなどからもウイルスが検出されます。感染者が出た時は、次亜塩素酸ナトリウムなどを使って、消毒してください。
出典:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」「ノロウイルス食中毒予防対策リーフレット」をもとにBuzzFeed Japanが作成
厚生労働省などは、ノロウイルスや新型コロナウイルスの感染防止のため、手すり、ドアノブ、便座などの消毒には「塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)」が有効だと呼びかけています。
次亜塩素酸ナトリウムを含んだ塩素系漂白剤は「ハイター」や「ブリーチ」などの商品名で市販されています。各メーカーの商品ごとの次亜塩素酸ナトリウム液の作り方に従い、水で薄めたうえで手すりなどを拭きましょう。
新型コロナウイルス消毒(手すり・ドアノブ・便座などの消毒) | 濃度 約0.05% |
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ノロウイルス等消毒(手すり・ドアノブ・便座などの消毒) | 濃度 約0.02% |
ノロウイルス等の嘔吐物などの処理 | 濃度 約0.1% |
各メーカーの商品ごとに濃度が違うため、メーカーが薦める次亜塩素酸ナトリウム液の作り方に従って作る必要があります。
出典:厚生労働省「被災した家屋での感染症対策」、経済産業省「身の回りを清潔にしましょう」、目黒区「次亜塩素酸ナトリウム液の作り方」をもとにBuzzFeed Japanが作成
インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気で、38℃以上の発熱、頭痛、関節や筋肉の痛みなどの症状が出ます。
A型のインフルエンザは、原因となるインフルエンザウイルスの抗原性が小さく変化しながら、毎年、世界中のヒトの間で流行しています。これが季節性インフルエンザです。
一方で新型インフルエンザというものもあります。これは、この抗原性が大きく異なるインフルエンザウイルスが現れた時に多くの国民が免疫を獲得していないことから、急速に蔓延することにより起こります。
※2009年に新型インフルエンザとして世界的に流行した新型インフルエンザA(H1N1)は、後に季節性インフルエンザと同様の取り扱いとなりました。
日本では季節性インフルエンザは例年12月〜3月が流行シーズンで、毎年、約10人に1人にあたる約1千万人が感染しています。新型インフルエンザはいつどこで発生するかは予測困難です。
感染は飛沫感染と接触感染があり、感染防止には以下の点が大切です。
インフルエンザワクチンの接種
外出後の手洗い・うがい、アルコール消毒液での消毒
栄養と睡眠を十分にとり、抵抗力を高める
目安として、比較的急速に38℃以上の発熱があり、せきやのどの痛み、全身の倦怠感が伴う場合はインフルエンザに感染している可能性があります。こうした症状がある場合は、早めに近くにある内科・小児科など医療機関を受診しましょう。周りの人にうつさないようマスクをして行きましょう。
お年寄りや子ども、妊婦は症状が重くなりやすく注意が必要です。呼吸が苦しい、下痢、嘔吐などの重症化のサインがみられる場合すぐに医療機関を受診してください。
医療機関でインフルエンザと診断されたら、医師の指示に従い処方された薬を服用するほか、脱水症状の予防のためにも水分を十分に摂取し睡眠をとりましょう。
また、インフルエンザの感染力はとても強いため自分や家族のメンバーが感染したら、対策をとって他の人にうつさないようにする必要があります。
出典:厚生労働省「インフルエンザQ&A」「インフルエンザ予防リーフレット」をもとにBuzzFeed Japanが作成
手足口病は、口の中や手のひら、足の裏などに2〜3mmの水疱性発疹が出るウイルスの感染によって起こる感染症です。子どもを中心に主に夏に流行します。例年、感染者の約90%が5歳以下の乳幼児です。
感染経路は、飛沫感染、接触感染のほかに、便の中に排泄されたウイルスが口に入って感染する糞口感染があります。
手足口病には有効なワクチンはなく、また手足口病の発病を予防できる薬もありません。予防には、以下のような点に注意する必要があります。
家庭内での予防の他にも、感染しやすい乳幼児が集団生活をする保育施設や幼稚園、または学童などでも流行的発生がみられるために注意が必要です。
手足口病に特効薬はなく、特別な治療方法もありません。経過観察を含め症状に応じた治療となりますが、まれに髄膜炎や脳炎などの合併症などが起こる場合があります。経過観察をしっかりと行い、以下の症状がみられた場合はすぐに医療機関を受診しましょう。
水分不足にならないようにすることも重要です。経口補水などで水分を少量頻回に与えるよう努めましょう。
出典:厚生労働省「手足口病関するQ&A」、国立感染症研究所「手足口病とは」をもとにBuzzFeed Japanが作成
2020年07月29日公開