避難生活エコノミークラス症候群予防法
災害が発生したあと被災者の命を奪うことのある恐ろしい病気「エコノミークラス症候群」。車中泊や避難所生活で発症するリスクがあります。どう予防すれば良いのでしょうか。
災害が発生したあと被災者の命を奪うことのある恐ろしい病気「エコノミークラス症候群」。車中泊や避難所生活で発症するリスクがあります。どう予防すれば良いのでしょうか。
出典: 厚生労働省
車中泊や長期化する避難生活のなかで問題になるのが「エコノミークラス症候群」です。
車や飛行機などで長い間足を動かさないままでいると、血の流れが悪くなり血の塊ができることがあります。最悪の場合、血管が詰まって死に至ることも。
2016年の熊本地震では54人がこのエコノミークラス症候群で入院が必要と判断され、その8割以上にあたる42人が女性でした。
出典:熊本県「入院を必要としたエコノミークラス症候群患者数」などをもとにBuzzFeed Japanが作成
熊本地震では寝泊まりしていた車から降りた直後に死亡した女性がいたほか、多くの発症者が車で寝泊りをしていたため、「車中泊が危険」というイメージが先行しました。
しかし避難所でも発症するケースはあります。個人のスペースが狭く、あまり歩かずに同じ姿勢を保っている人が多いことがその理由。「車じゃないから」と安心はできません。
また、発災直後ではなく4〜5ヶ月後に発症する場合も。熊本地震でも死亡例はありませんでしたが、重症化し入院が必要となったケースがありました。
同じ姿勢のままでは過ごさず、ストレッチなど適度な運動を行うことがもっとも有効です。
足の指でグーを作る
足の指をひらく
足を上下につまさき立ち
つま先を引き上げる
ひざを両手で抱え足の力を抜いて足首を回す
ふくらはぎを軽くもむ
避難生活ではトイレを我慢するために飲み物を控えがちですが、喉が乾く前にこまめな水分補給をすることも重要。ベルトなどをきつく締めずリラックスすることや、なるべく足を上げた状態にするのも効果的です。
車中泊をする際は、座席の下に荷物や丸めたタオルなどを置いて足を乗せると良いでしょう。また、避難所で発症を防ぐ「弾性ストッキング」が配布されるなどの対応が取られることもあります。
歩いているときに息切れがしたり胸が痛くなったり足のむくみや痛みなどの症状が出たりしたら、すでにエコノミークラス症候群を発症している可能性があります。
すぐに医療機関を受診しましょう。過去の災害ではその場で健康保険証や所持金がなくても医療を受けることができる特別措置が取られています。
無理をしないで病院に行くことこそが、命を守る大切な手段です。
出典:厚労省「エコノミークラス症候群の予防のために」「避難生活を送られている皆様へ」、JAF「クルマなんでも質問箱」などをもとにBuzzFeed Japanが作成
2020年03月30日公開