日常の備え原子力災害が発生したら

原子力発電所などで事故が発生した場合、放射性物質が異常に放出され、周辺の住民に被害を与えることがあります。そのような場合には、政府や自治体の発表をよく確認して、冷静に行動しましょう。

目次

原子力災害とは

原子力災害とは、原子力施設の事故により、放射性物質が放出され、原子力施設の周辺地域の住民や環境などに直接または間接的に被害を与えることです。
地震や風水害、火災などの一般災害と異なり、原子力災害は、人間の五感では感じることができない放射性物質や放射線に関して対策を講じる必要があります。

出典:一般財団法人日本原子力文化財団

原子力災害が発生したらどうなる?

原子力施設で事故が起きた場合、周囲に放射性物質が放出され、被ばくするおそれがあります。
放射性物質は雲のようなかたまり(放射性プルーム)となって、風下側に広がっていきます。

出典:鹿児島県「原子力防災のしおり」

外部被ばくと内部被ばく

放射線を受けることを「被ばく」といいます。そして、放射性物質などの放射線の発生源(線源)が、体の外にあり、体外から放射線を受けることを「外部被ばく」といいます。
一方、呼吸や飲食によって放射性物質を体内に取り込んだり、皮膚に付着した放射性物質が傷口から体に入ったりすることによって、体の中に取り込まれた線源から放射線を受けることを「内部被ばく」といいます。内部被ばくには、主に放射性物質が食べ物と一緒に取り込まれる「経口摂取」、呼吸によって取り込まれる「吸入摂取」、皮膚から吸収される「経皮吸収」、傷口から入る「創傷侵入」という4つの経路があります。

出典:一般財団法人日本原子力文化財団

日常生活と放射線

放射線を出す放射性物質は、人類が誕生する前から存在しており、私たちは日常的に身の回りの地面や空気、そして食べ物からも放射線を受けています。また、医療でも放射線は利用されています。このように、日常生活の中でも常に放射線を受けています

放射線は、体の細胞を傷つけますが、その傷を修復する仕組みが体の中に備わっています。1人が受ける自然放射線量は世界平均で年間2,400マイクロシーベルトです。

1,000マイクロシーベルト(μSv)=1ミリシーベルト(mSv)
2,400マイクロシーベルトは2.4ミリシーベルトにあたります。

出典:宮城県「原子力防災の手引き」

原子力災害発生時の行動

国やお住まいの自治体が避難や屋内退避が必要か判断し、お知らせします。

事故が発生したからといって、必ずしも放射性物質が放出されるわけではなく、避難や屋内退避が必要ない場合もありますので、行政機関からの正しい情報や指示にしたがって落ち着いて行動することが大切です。

出典:宮城県「原子力災害時の行動について(住民向け普及啓発資料)」

※1PAZ:予防的防護措置を準備する区域(Precautionary Action Zone)

※2UPZ:緊急防護措置を準備する区域(Urgent Protective action planning Zone)

※3施設敷地緊急事態要避難者:高齢者、障害者などの「要配慮者」のうち、避難の実施に通常以上の時間がかかる方、妊婦、乳幼児とともに避難する必要のある方及び安定ヨウ素剤を服用できない方など。

[事故進展の区分] 警戒事態(緊急ではないが、異常事象の発生またはそのおそれがある状態)[PAZ(~5km圏内) ※1] 施設敷地緊急事態要避難者 ※3 の避難準備 [事故進展の区分] 施設敷地緊急事態(原子力発電所外に放射性物質が放出される可能性が生じた状態) [PAZ(~5km圏内) ※1] 施設敷地緊急事態要避難者の避難実施、一般住民の避難準備、安定ヨウ素剤の服用準備 [UPZ(5~30km圏内) ※2] 屋内退避準備 [事故進展の区分] 全面緊急事態(原子力発電所外に放射性物質が放出される可能性が高い状態) [PAZ(~5km圏内) ※1] 全住民の避難実施、安定ヨウ素剤の服用 [UPZ(5~30km圏内) ※2] 屋内退避の実施、避難の準備

出典:佐賀県「原子力防災のてびき」

参考情報:全国の原子力発電所の位置と運転状況

日本原子力文化財団
日本の原子力施設の状況(外部サイト)

安定ヨウ素剤とは

なせ飲むの?

原子力災害が発生した際、放射能を有するヨウ素(放射性ヨウ素)が放出されることがあります。それが体の中に取り込まれると、喉のところにある甲状腺という器官に集まり、その放射線を受けること(内部被ばく)によって、将来、「甲状腺がん」などを発症する可能性があります。
この内部被ばくに対しては、安定ヨウ素剤を予防的に服用することで放射性ヨウ素の甲状腺への取り込みを防ぐことができます。

どんなもの?

安定ヨウ素剤の成分名は、ヨウ化カリウムです。丸剤、ゼリー剤、粉末剤の剤型があります。
粉末剤は、液状に調製し、3歳未満の乳幼児や丸剤服用が困難な方が服用します。

注意
  • 原子力規制委員会の判断に基づき、国や自治体が服用の指示を出します。
  • 原子力災害時に安定ヨウ素剤を効果的に使用するためには服用のタイミングが大変重要ですので、必ず服用の指示に従い、服用してください。
  • 安定ヨウ素剤には、放射性ヨウ素以外の放射性物質による内部被ばくを防ぐ効果はありません。
  • ヨウ素を含んだ「うがい薬」や「消毒薬」は、安定ヨウ素剤とは異なりますので代用品として飲むのは、絶対にやめてください。

出典:鹿児島県「原子力防災のしおり」

屋内退避の指示が出されたら

自宅や公共施設などの建物に入ってください。

  • ドアや窓を閉めるなど、放射性物質が室内に入ってくることを防ぐと、被ばくする量を少なくすることができます。
  • 放射性プルーム(放射性物質が雲のようなかたまりとなったもの)が通過するときは、避難しようと屋外に出るよりも、屋内退避によって放射性物質をできるだけ避けたほうが、被ばく量を少なくすることができます。
  • 気密性の高いコンクリート製の建物に屋内退避した場合、吸入による内部被ばくを屋外にいる場合の1/20程度に抑えることができます。

外気を取り入れないタイプのエアコンは屋内退避中でも使用できます。

屋内退避のポイント
  • 扉や窓を閉める
  • 換気扇は止める
  • エアコンは使用可能 ※外気導入型は止める
  • 帰宅したら顔や手洗いうがいをする
  • 外で着ていた衣服をビニール袋などに入れる
  • 食品は容器に入れたりラップをする
  • ペットも家の中に入れる
  • テレビやラジオから情報を収集する

出典:宮城県「原子力防災の手引き」

避難が必要になったら

避難(一時移転)の指示が出たら、あわてずに準備を行い、指示内容をよく確認し、指定された場所へ避難してください。

[正しい情報を入手しましょう] 自治体からテレビ、ラジオ、防災行政無線、広報車などの手段により避難指示が発令されます。どのように避難するか、正しい情報を入手しましょう。 [ガスの元栓をしめ、電気のブレーカーを落としましょう] 戸締まりも忘れないようにしましょう。 [放射性物質から身を守りましょう] 避難の際は、脱衣の簡単な服を着用し、マスクまたは水で濡らしたハンカチ等で口や鼻を覆うなどして、汚染や放射性物質の吸い込みによる内部被ばくを防ぎましょう。 [自家用車やバス等で避難しましょう] 自家用車による避難のほか、集合場所に集合し、自治体が手配するバス等で避難しましょう。また避難の際は、近所に声をかけましょう。

避難時の服装

避難するときには、以下のような、できるだけ直接肌を出さない服装を心がけましょう。

[頭をおおうもの]帽子またはフード付き上着 [手]手袋、軍手、ゴム手袋等 [腕]長そで上着 [足]長ズボン(スラックス)、靴下、長靴、運動靴 [口や鼻をおおうもの]マスク、タオル等

出典:佐賀県「原子力防災のてびき」

2023年04月03日公開

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防災手帳についての免責事項

災害発生時には政府機関や各自治体の発表する情報にも注意を払い、必要に応じてすみやかに避難等を行ってください。必ず、他の情報と併せて状況を確認するようにお願いいたします。

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